藤田医科大学病院 輸血部
検査業務

01
ABO,RhD血液型検査
血液型検査の中で最も重要な検査がABO血液型検査です。
それについでRhD血液型検査も重要とされています。
この検査は「オモテ検査」と「ウラ検査」の2つに分けることができます。
オモテ検査
ウラ検査
患者赤血球を用いた検査
赤血球上のA抗原またはB抗原(RhD抗原も)と抗血清試薬との反応
※例)下図は患者をA型として示しています
患者血漿を用いた検査
抗体(抗A,B)と赤血球試薬との反応
※例)下図は患者をA型として示しています


オモテ検査とウラ検査の結果が一致してはじめて、ABO血液型の結果を出すことができます。
ABO血液型を間違えると患者の生死に関わるので、患者間違いを防ぐためにも必ず「別のタイミングで採血した検体(2回分)」を用いて検査を行い、血液型を確定させることが重要となってきます。
02
不規則抗体検査
患者血漿(or血清)中の抗A、抗Bは「規則抗体」であるのに対し、
それ以外の赤血球膜上の抗原に対する抗体はすべて「不規則抗体」となります。
不規則抗体を保有する日本人口の割合は約0.5%未満と言われているため、ほとんどの方は保有していません。
しかし、中には「自然抗体として元から保有している場合」や
「輸血・妊娠が原因で産生した場合」など、不規則抗体を保有している方もいます。

この検査は赤血球輸血の際に必要な検査の一つであり、「臨床的に意義のある不規則抗体」※1の有無を調べるために行います。
また、患者が不規則抗体を保有している場合には「その不規則抗体に反応しないような赤血球液(RBC)」を
選択する必要があります。
※1「体内で赤血球膜上の抗原と反応して、溶血を引き起こしてしまう可能性のある不規則抗体」のことを指します。

03
交差適合試験(クロスマッチ)
交差適合試験(クロスマッチ)は赤血球液(RBC)を輸血する際に必要な検査です。
患者血漿or血清(抗体)と赤血球製剤(赤血球抗原)の反応みることで、
使用するRBC(供血者)が患者(受血者)に適合するかを
確認することができます。
この検査を行わないと溶血性副反応を引き起こす原因となりうる
ので、安全な輸血を行うためには必要不可欠な検査です。
「製剤の血漿」と「患者の赤血球」の反応は確認しなくても良いのか?
A. RBCは赤血球と保存液から成り立っています。血漿部分はほとんど含まれていないため、確認する必要はありません。
04
移植関連・HLA検査
白血球をはじめとする全身の細胞には
HLA(Human Leukocyte Antigen)という自分の抗原の型が
存在します。
そのHLAの型や、抗体の有無・種類などを検査します。
造血幹細胞移植や臓器移植はHLAの型を一致させることが重要に
なります。
